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掛け時計 振り子時計 置き時計


 ■ ヨーロピアン・クロックの魅力


■子供の頃の鳩時計

昔懐かしの鳩時計 皆さんの中には、子供の頃に「鳩時計」の鎖を引いて分銅を上げて遊んだ記憶をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。当時は、おじいさん、おばあさんが孫が生まれた記念に、あるいは、お父さん、お母さんが子供の健やかな成長を願って買ってくれたものです。子供達が鳩の鳴く様子を見て喜ぶ姿を見たかったのかもしれませんね。

 そんな事とはつゆ知らず、毎正時に箱の上にある扉が開き、中から鳥が出てきて鳴いて時を告げる、あの鳴き声が「カッコー」のそれに聞こえて仕方なかったのは私だけだったのかもしれません。

 大人になってから鳩時計について話を聞く機会があり、この疑問をぶつけてみました。

 そもそも日本で鳩時計が作られ始めたのは戦後になってからで、ドイツのカッコー時計をコピーして幾つものメーカーが生産していたそうです。その際、「カッコー」は「閑古鳥」と書きますが、それは日本では、商売の上であまり歓迎されない言葉ということで、「鳩時計」に名前を変えて販売していたようです。鳩時計の鳴き声は「ポッポー、ポッポー」ですが、本当の鳩は「グルグルー」と鳴くようです。「ポッポッポ、鳩ポッポ」という唄の影響もあるのでしょう。この鳴き声を「カッコー、カッコー」と思って聞くとカッコーの声になります。実のところ鳩時計はカッコーの鳴き声だったのですね。

鹿をモチーフとしたデザイン さて前置きが長くなりましたが、この「鳩時計」が生まれたのは、ドイツ南部シュバルツバルト(ブラック・フォレスト=黒い森)地方、現在のバーデン地方だったという話です。
森の恵みの多いこの地方では当然のデザインモチーフだったのかもしれません。ドイツ本国に行くと、日本でお馴染みの鳥の飾りのついたものだけでなく、リスや鹿とか果実などをモチーフとしたデザインの時計もたくさん見ることができます。





■家具職人が時計を作った

シュバルツバルト地方の風景 ドイツ製時計の話に移りますが、ドイツの時計作りの始まりは、まさに前述のシュバルツバルト地方が中心だったと言う事です。木製時計の最初の製造者は、家具職人だったようです。 18世紀のシュバルツバルトの農家では、雪深い冬の間「時計作り」が副業として広まり始めました。
ドイツ南部の代表的建物 そして代々、マイスター(職人)と その弟子が時計の製造に就いていたと言われています。 ドイツ時計の特徴としてあげられる木彫の緻密さや重厚さ、そして木と木を合わせて組み立る精度の高さは、このような伝統が背景にあるからなのでしょう。

時計の行商人 この地方を旅行していると、時計店の店頭で「時計を背負った行商人」の置物を見ることがあります。長い冬の間、ヨーロッパ各地に時計を売りに出かけて行った当時の人々の姿を今に伝えるものです。

と ころで、国産のクロックも以前は木製のケースのものがほとんどでした。しかしながら天然の素材を使うために、どうしても個々の製品の仕上がりにムラができ、また安定して供給することが難しく、コストダウンをはからなければならない要求から、現在ではプラスチック製のものや、合板のものが主流になってしまっています。

 100個作れば100個ともプリントされた同じ「木目」の均一化した製品。日本の工業製品のすばらしい点であることは認めますが、どこか「味」が損なわれている気がしないでもありません。大量生産によって競争を勝ち残ってきた日本のメーカーにしてみれば当然の選択だったのでしょう。でも、現在その事がある意味限界に来てしまっていることは皆さんの目にも明らかだと思います。





■クロック作りの伝統

グスタフ・ベッケルの掛け時計 クォーツ時計が普及し始めてからと言うもの、ドイツばかりではなく、スイス、フランスといったヨーロッパのクロック製造業者は長らく、日本製に代表される大量生産のクロックに攻勢をかけられていました。時代の流れと言ってしまえばそれまでですが、数多くのユニークなメーカーが淘汰されていったのも事実です。

 しかしながら、ドイツの時計作りの伝統は静かに脈々と、そして確実に受け継がれてきました。

 年配の方なら、ユンハンス(Junghans)、キンツレ(KIENZLE)、キニンガー(KIENINGER)、グスタフ・ベッケル(Gustav Becker)...と言ったそうそうたるドイツのクロックメーカーの名前をご存知でしょう。そしてこちらのサイトで販売されているヘルムレ(Franz Hermle & Sohn)もそういった名門の中の一つです。
キンツレの置き時計 彼らが自社工場の合理化を進め、コストダウンをはかり、今のマーケットに対応しながらも、時計作りの中でひたすらこだわり続けてきたもの...それは、クロックとしての「質感」であったと思います。毎日の生活の中で、部屋の片隅で、自己主張せず、しかしながら確実に時計としての機能を果たし、何年にも長きにわたって置いておいても、決して飽きが来ることのない時計本来のモノとしての姿だったのです。
 確かに国産の時計では、クォーツ化、IC音源化、10年電池、電波時刻自動修正等々、最新のテクノロジーを実装することで機能は格段に向上しています。それはそれで日本の時計作りが世界に誇れる事です。しかしその影で失ったものも少なからずあることを忘れてはいけません。冒頭の鳩時計の音の源である「ふいご」を修理するといった昔なら当たり前だった技術、あるいは自社でゼンマイ式のクロック用ムーブメントを製造できる国内メーカーは残念ながら現在では皆無です。

 ドイツの時計作りの素晴らしい点は、新しい技術(電波時刻修正技術も日本より先に導入)を取り入れる事は当然の事として行い、同時に昔ながらの技術も温存し伝えて行くという姿勢でしょう。


上部に「鈴」が見られます 棒リンタイプ 左右のハンマーで複雑なメロディーを奏でます


 多少時計の精度が劣っても、時を告げる音がIC音源の音であるより、本物の「鈴打ち」の音の方が心にしみわたっていいのに決まっています。そのことを実現するために、電子部品を一切使わない100%機械式のクロックを製造できる技術を切り捨てずに持ち続けているのです。国をあげてマイスター制度を維持しようとしている気質はモノ作りの分野で大いに見習うべき点だと感じます。





■クロック製造に携わる層の厚さ

 それから、国産メーカーはいずれも大企業化し、マーケットが寡占化しすぎてしまっています。競争淘汰の末、数社が生き残った結果そうなったわけですが、なんだかどのメーカーの製品も個性に乏しいような気がしてなりません。綿密なマーケティングの結果を製品作りに反映させた弊害と解されても仕方がないと思います。

 インホルゲンタ・ミュンヘン会場一方、ドイツには大きなメーカーもありますが、数人で運営している本当に家内工業的なクロック製造業者が実にたくさん存在しています。

 時計の国際見本市として有名な「バーゼルフェア」や、クロックの本場ドイツ・ミュンヘンで開催される「インホルゲンタ・ミュンヘン(国際時計・宝石・貴金属・製作機器専門見本市)」のクロック関係の出展ブースに一度でも足を運んでみてください。「こんなにいろいろなクロックがヨーロッパには存在するのか!」と驚きを隠せなくなることは間違いありません。

 最新の電波修正機能付から分銅引き振り子時計まで、木製のものはもちろん、真鍮を削りだしたものから、陶器製、揚げ句は天然のスレート(堆積岩)を素材として利用したものまで、機構的にも、デザインの面でも、実に多種多様個性的なクロックに出会う事ができます。

 これは大企業から中小のメーカーにまでおよぶクロック作りの層の厚さがあってこそ初めて可能な事なのだと実感する事ができるでしょう。そして各社新作モデルも出品しますが、それぞれの定番モデル、つまりそのメーカーの顔とも呼べるモデルをカタログから落とさず製造し続けているのもヨーロッパ的だと思います。
これらのクロックを日本でなかなか目にする機会がないのが残念でなりません。



■輸入クロックを見かけなくなった理由

 では普段私達が店頭で、これら素晴らしいドイツ製クロックを目にする事が少なくなったのはどうしてなのでしょうか?

 いろいろな話を耳にしますが、一つ目の要因として、クロックのビジネスは輸入業者の負担が大きい事が考えられます。
小型軽量なウォッチと違い、クロックは倉庫など保管に広い場所を必要とします。また保管状態が悪いと高温多湿な日本の気候では金属部分に錆が生じたり、木に狂いが生じたりして商品としての価値が下がってしまうケースが出てくるそうです。輸入してから販売されるまでに時間がかかればかかるほど輸入業者の利益を圧迫する結果となり、多くの輸入業者が撤退してゆきました。

 二つ目の要因としてデパートなど店頭サイドでの売り場の効率化が上げられます。
 例えば掛け時計のように、展示に壁面を広く必要とするクロック類は坪当たりの売上効率がどうしても悪くなります。また売り場のレイアウトの自由度もききませんので衣料品など他の商品を販売するのにしばしばじゃまな存在になりがちです。同じ売り場面積なら、より単価の高いウォッチを売った方が良いとの判断が出されてしまいクロック売り場が縮小されてしまうのです。

 以上のような訳で、「ちょっと気の利いたクロックが欲しい」と思っても、残念ながらなかなかそれに出会う機会が少ないのが現状なのではないでしょうか。



■一生モノと呼べるもの

ヘルムレ現行商品 70757-90058 でも、ちょっとだけ考えてみてください。

 ご自身のお子さんの出産の記念に、末永く使おうと思っても、すぐにカタログから消えて修理が効かなくなってしまう国産のクロックをチョイスするという事の意味を?
新築したお家のお祝いに、どこにでも売っていて100個中100個とも同じ木目のプラスチック製没個性のクロックを送ると言うことのセンスを?

 ちょっとしたことですが、少しだけ「こだわり」を持って商品を探し、少しだけ納期に時間がかかるのを我慢すれば、末永く付き合っていけるクロックにめぐり合えるチャンスが出てくるものです。

 「おじいさんの大きな古時計」という歌がありましたが、大切に扱えば本当に一生動き続けてくれるのがクロックの本来の姿です。家中の時計を全部そうしろなんて言いません。ビデオやオーディォ製品にも時刻表示機能はついています。

ですがどこか1ケ所だけでも、お部屋の中に、それも自己主張せず、長く使っても飽きの来ない良いデザインの時計が、確実に時を刻んでくれていると、次第次第に愛着がわいてくるものです。ヘルムレ現行商品 22786-16791そしてそれが何かの記念...結婚の時に友人からプレゼントされたものだったり、子供が産まれたお祝いだったり、新しくお家を移った時に揃えたものだったり...と、いろいろな思い出が詰まっているものならなおさらです。
 いろんなモノへの「こだわり」を大切にしたい人に、ご紹介したいサイトが、ここ「クロックショップ コヨミ」なので、こんなコラムを書いてみました。街中の時計屋さんではなかなか見つけられないクロックをお探しの方、ぜひページを繰ってみて下さい。きっと気に入ったクロックを見つけることが出来ると思います。

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